フレキシブル基板(FPC)の基板材料には柔軟性や耐熱性、電気絶縁性などに優れているポリイミドや液晶ポリマーなどのフィルムが使用されています。
このページではポリイミド、液晶ポリマーなどの基板材料について解説します。
フレキシブル基板とは、正しくは「フレキシブルプリント配線板(Flexible printed circuits)」のこと。英語の頭文字を取り、FPCと呼ばれることもあります。
フレキシブルとは「柔軟な」という意味ですが、その意味のとおり、フレキシブル基板は力によって自在に曲げられることが特徴。曲げても電気的特性は変化せず、本来持つ性能を発揮し続けることができます。
薄い絶縁体(ベースフィルム)をベースに、その上に接着剤と導体箔を貼り合わせた構造となっています。
曲げても電気的特性が変わらないことから、基板間やユニット間をつなぐ接続ケーブルでは一般的に利用されています。
また生活や仕事に身近な例としては、電卓、プリンターのヘッド部分、キーボード、液晶モニター、カメラのレンズ部分、折りたたみ式携帯電話の稼働部分などでも利用されています。
軽量化が必要となる宇宙開発や航空などの領域でも広く使われています。
「電気的特性を変えずに基板を曲げられれば便利」という製品は、その多くがフレキシブル基板の対象になるでしょう。
フレキシブル基板の構造には、主に片面構造タイプと両面構造タイプがあります。
片面構造は薄さ・柔軟性・軽量性を重視したタイプで、主に可動が多い場所に使われます。機能性は両面構造より劣りますが、両面構造に比べると可動耐久性は高くなります。
両面構造は機能性を重視したタイプで、クロス配線などの複雑な回路などに使われます。機能性が高い反面、片面構造より可動耐久性が下がります。
フレキシブル基板(FPC)の基板材料には以下の性質が求められます。
まずフレキシブル基板(FPC)の基板材料では、屈曲に耐える柔軟性と耐久性が求められます。回路を保持するものなので電気絶縁性も必要です。さらにめっきやラミネートなどの加工に耐えうる耐熱性・寸法安定性・耐薬品性も求められます。
これらの特性を満たす、ポリイミドフィルムと液晶ポリマーフィルム、PETフィルムが多く使用されています。
熱硬化樹脂の中で最も耐熱性に優れたプラスチックであるポリイミドは、熱に対する膨張率が低く、高い電気絶縁性を持っていることからフレキシブル基板(FPC)の基板材料では最も多く使用されています。
液晶ポリマーと比較すると安価であるのがメリットです。
これまで、フレキシブル基板(FPC)の基板材料は、ほとんどポリイミドフィルムが使用されていました。しかし、近年は高周波対応が必要な場合は液晶ポリマーフィルムを採用することが多くなっています。
液晶ポリマーは柔軟性・耐久性・耐熱性・寸法安定性・電気絶縁性・耐薬品性などの性質をもちつつ、ポリイミドと比較して電気特性が優れており、吸湿膨張係数が小さいという特徴があります。
高速伝送回路や高周波電子機器に適した高周波特性を備えており、近年需要が増加しています。ポリイミドと比較し、ガスバリア性にも優れています。コストがポリイミドフィルムよりも高いのがデメリットです。
PETは吸湿しにくい性質を持っているので、湿度が致命的となってしまうような環境や高湿度のもとで使用する機器のフレキシブル基板(FPC)によく採用されています。また、透明なレジストを使用するとパターンや部品以外の部分は透明にできるので、可視化が必要な場合にも向いています。
大量生産した際のコストが安く、ポリイミドや液晶ポリマーと比較するとコストパフォーマンスに優れているのがメリットです。柔軟性などは問題ありませんが、耐熱性が低く、熱を持つ回路や通常のはんだは使用できないのがデメリットです。
フレキシブル基板(FPC)の基板材料に求められる特性は多く、適している材料はそれほど多くありません。各材料ともメリット・デメリットがあるので用途に合った基板材料を選ぶことが大切です。
設計から依頼できることでコストもかかる工数も変わってきます。それぞれ得意領域を持つFPC製造メーカー3社をご紹介します。
引用元:三陽公式サイト(http://www.wsanyo.jp/)
引用元:サーテック公式サイト(https://cir-tech.co.jp/)
引用元:山一電機公式サイト(https://www.yamaichi.co.jp/)