高密度FPCの基礎
BVH(Blind Via Hole)は、基板を反対面まで貫通させず、必要な導体層を電気的につなぐためのビアです。FPCでは、片面だけに開口する構造を生かし、反対面の実装・配線スペースを確保したいときに検討されます。ただし、穴径だけで採否は決まりません。接続する層、開口面、実装ランド、屈曲部との位置関係まで含めて設計することが重要です。
BVHは「Blind Via Hole」の略称です。多層基板では、主に外層の導体パターンと内層の導体パターンをつなぐ非貫通孔を指します。片側からは穴が見えますが、反対面までは抜けていません。
大切なのは、名称より断面構造です。「BVH」とだけ図面に記載するのではなく、どちらの面から開口し、どの層まで接続するかを示すと、認識違いを防ぎやすくなります。
スルーホールとの違いは、穴が基板を貫通するかどうかです。一方、IVHは資料やメーカーによって指す構造の粒度がそろわないことがあります。略称だけで判断せず、断面図と接続層を確認してください。
| 呼称 | 開口・接続の考え方 | 図面で明示したいこと |
|---|---|---|
| スルーホール | 基板の表裏を貫通し、必要な導体層を接続する | 穴径、ランド径、接続層、両面の配線禁止領域 |
| BVH | 片面から開口し、反対面まで貫通せずに所定の層へ接続する | 開口面、開始層・終了層、ビア径、ランド、充填の有無 |
| IVH | 呼称だけでは接続範囲を一意に判断しにくい | 層番号を入れた断面図と、製造元が使う用語の定義 |
穴を反対面まで貫通させないため、開口していない面の同じ位置を接触パッドや部品実装ランドとして使える場合があります。実装面積が限られるFPCでは、部品直下や端子周辺の配線自由度を確保する手段になります。
基板全体を貫通させず、必要な層まで接続するため、ほかの層の配線領域を残しやすくなります。多層FPCの限られた面積に回路を収めたいときに有効な考え方です。
太洋テクノレックスは、BVHについて、非貫通でランド部にも形成でき、銅めっきが一層のみで済むため、薄型化と導体パターンの高密度化に適すると説明しています。ただし、完成厚や配線密度は材料・層構成・加工条件を含む全体設計で決まります。
参照元:太洋テクノレックス株式会社 専門用語集(https://ecomp.taiyo-xelcom.info/fpc/glossary/)
同じBVHでも、穴の形成方法や内部を充填するかによって製造条件が変わります。用語だけを並べるのではなく、要求する断面をメーカーと共有することが重要です。
| 呼称 | 構造・形成方法 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| コンフォーマルBVH | レーザー穴あけ部の銅箔を先にエッチングで除去し、絶縁層をレーザー加工する呼び方 | 開口径、位置精度、対応する銅箔・絶縁材 |
| ダイレクトBVH | 表面の銅箔ごとレーザーで穴あけする呼び方 | 使用するレーザー、銅箔厚、穴品質の保証条件 |
| フィルドBVH | BVH内部を充填した構造。製品によっては多層化・高密度化に利用される | 充填方法、上面の平坦性、次層との接続構成、検査方法 |
| スキップビア | 日本シイエムケイの薄型多層FPCで採用例が示されている構造 | 接続する層と断面構造を製品ごとに確認 |
「コンフォーマル」「ダイレクト」の区別は、太洋テクノレックスの用語集に基づくものです。同ページは独自の用語・用法を含む場合があると明記しているため、発注先でも同じ意味かを確認してください。
参照元:太洋テクノレックス株式会社 専門用語集(https://ecomp.taiyo-xelcom.info/fpc/glossary/)
層構成図に開始層・終了層と開口面を記載します。略称だけに頼らず、断面図で合意するのが確実です。
部品実装ランド、接触パッド、引き出し配線など、BVHで確保したい領域を明確にします。用途が曖昧なままでは、どのビア構造が適するか判断できません。
BVHの断面条件に加え、静的に折り曲げるのか、繰り返し動かすのか、使用時の曲げ位置・半径・方向も図面に示し、構造全体をメーカーの設計レビュー対象に含めます。
ビア径、ランド径、絶縁層厚、位置合わせ、充填の有無は、材料と層構成を組み合わせた量産条件で確認します。試作限界値と量産管理値は分けて聞いてください。
電気検査、断面確認、必要な信頼性評価、ロット管理を用途に合わせて決めます。適用規格がある場合は、規格名だけでなくリビジョンや要求区分も発注先とそろえます。
FPC・リジッドフレックスの設計要求を扱う規格としてIPC-2223があります。規格を指定する案件では、発注時点の現行版と要求内容をメーカーへ確認してください。
参照元:IPC Board Design Standards(https://www.ipc.org/ipc-board-design-standards)
BVHが向くのは「新しい技術を使いたいとき」ではなく、貫通穴では確保できない実装・配線領域が必要なときです。先に要求を決め、その要求を満たす最も単純な構造を選びます。
| 要求 | 候補 | 判断時の確認事項 |
|---|---|---|
| 基板全体を貫通して層間接続したい | スルーホール | 両面のランドと配線禁止領域を許容できるか |
| 反対面を実装ランドや配線に使いたい | BVH | 開口面、接続層、必要なビア径を製造できるか |
| 内層を含む複数の非貫通接続が必要 | IVH・BVHを含む層間ビア | 呼称ではなく、各ビアの開始層・終了層と積層順序を断面図で合意できるか |
| 配線密度に余裕があり、両面開口を許容できる | スルーホールも含めて比較 | BVHで確保できる領域と、各構造の製造可否・見積条件 |
必要な接続層と使用条件を整理できたら、BVHを含む高密度FPCに対応できるメーカーを比較しましょう。
FPCメーカーを比較するフレキシブル基板の依頼先を探す動機は企業ごとに異なります。ここでは、代表的な3つのニーズに合わせて、それぞれ得意領域を持つFPC製造メーカー3社をご紹介します。